明日の空は何色だ

作家を目指し幾星霜。物書きの雑記ブログ。

コイバナ

「コイバナ」という言葉の響きに特別なものを感じていたのは、もう何年も前のことだ。

私は、恋愛にからきし縁がなかった。全くとは言わないが、あまり良い思いはしてこなかった。中学の時は恋に焦がれて、高校の時は友人に毛が生えたような恋人ができて、大学の時は振り回されて終わった。基本的に恋人を作るほどの暇もなかった。

 

だからこそ、やっぱり恋愛というのは自分にとって触れ難い領域で、物語にするにも悪戦苦闘した。映画でも漫画でも、恋愛に関する描写はあまり印象に残らない。

自分は人を好きになることなんてないのか、もしくは病的な好意を抱いて破滅するのか。悲劇のヒロインを演じたいわけではないが、少し不安があった。結婚詐欺なんてものも、現実には存在するわけだし。文字書きが恋愛を拗らせたらろくなことにはならないと、歴史が証明しているし。私の容姿は自分の中でも優れたものではないので、つけこんでくる人もいるんじゃないか。

 

ところが、最近気になる人ができた。

向こうからも、私に対する好意がうかがえる。

しかし、それを受け容れることができなかった。自分の気になる人でなかったら、好意を向けられてもあまりピンと来ない。だからこそ「否認感情」の存在は私自身の好意の裏返しでもある(めんどくさい。でもそこが面白いでしょって大森靖子は言ってくれるはず)。なんで受け容れられないのか、考えてみたら、徹底的な自己の無価値感によるものだと気づいた。私などが人に好かれていいはずがないし、人を好きになっていいはずがない。

 

この無価値感が諸悪の根源であるが、こいつと共に進んできた人生でもある。醜悪な化物に対峙し排除しようと剣を捜し始めたが、私がやりたいのは昔話じゃなくて、昔話からの脱却だ。

男が報酬のように姫をせしめる話より、仲間に恵まれて敵を打ち倒す話より、見たことないけど見たことあるよな話がいい。

剣はいったん置いておき、うまいやり方はなかろうかと知恵を絞りたい。

できれば、化物と一緒にね。