明日の空は何色だ

作家を目指し幾星霜。物書きの雑記ブログ。

服喪

久々にブログを書く。しばらく病気による疲労でパソコンを開けていなかった。今日もたっぷり昼寝をしたのに、疲れている。ただ寝るには早すぎるため、どうにか時間を凌がなければいけない。本当は執筆中の小説を進めたいが、物語を書くのには多大なエネルギーを要するため、疲れた状態で無理に書こうとしてもうまくいかない。

 

物語を書くのに疲れてしまうのは、前後関係を常に考えながら文章を書かなければならないからだ。途中で必要になる小物も、その後の展開を暗示させる、またはその物語を象徴するものを選ぶ必要がある、と私は思っている。要するに、一度に複数のことを考えながら、頭に浮かんだ場面を描写する必要があるのだ。そのため、一度小説を書き始めると、浮かんだ先の展開をメモする、モチーフへの認識が適切かどうか調べる、という複数のタスクを並行して行うことになる。三面六臂になれる術を習得したい。

 

反対に、ブログはあまり気力を使わなくても書ける。一面一臂で十分だ。物語のように何万字とあるわけではないし、また心情を描写すべき登場人物は私だけだからだ。情景や小物の描写も必須ではない。だから、時間を潰すにはうってつけだと私は思っている。またもちろんだがつまらない作業でもない。読み返して、その時考えていたことを思い出すのもまた楽しい。

 

突然だが、先日祖母の家の犬が亡くなった。ミニチュアダックスの、人懐っこい犬だった。祖母の家を訪れるといつも、尻尾を振り突進してきた。私が帰ると、物音がするたびに私の姿を探していたらしい。人の顔をなめるのが好きな犬で、だから顔をなめさせてくれる人が好きな犬だった。こっそり畳を前足でほったり、畑の野菜を食べたりと、やんちゃなところがあった。夜中トイレに起きると、外に出してくれとせがむ。そして庭をぐるりと回って戻ってきた。祖母はそれをパトロールと呼んでいた。一体何を見に行っていたのだろう。

昨日は病気のために、睡眠薬もなかなか効かず寝付けないでいた。なんとなく身を起こしたとき、小脇に空いた隙間にひゅっと冷たいものが触れた。

犬が、挨拶に来たんだなと思った。

私は、犬の名前を呼んで、何かを語り掛けた。全ては覚えていないが、祖母が憔悴しているため、一緒にいてあげてほしいと伝えたことは記憶にある。

睡眠薬のせいで幻覚や幻聴を見ていた最中だった。また寝付けずに1時間ほどべらべら喋っていたこともある(なんだかヤバい状態のような気もするが、私はほんとはこういう人間だったのかもしれない。今までおかしくない人であろうと神経質になっていただけで)。だから、ただの勘違いなのかもしれない。

でも、それだけ、犬が私にとって大切な存在だったというのは確かだ。

 

喪失というのはあまりに悲しい出来事だが、同時に、悲嘆の存在は自分が孤独でないことの証左であると思う。

楽しかった思い出だけを胸に、全てはいつか失われるものだと、現在の解像度を高めていきたい。