明日の空は何色だ

作家を目指し幾星霜。物書きの雑記ブログ。

クスノキ

人との距離感は、どうしたらうまくとれるようになるのだろう。

私は幼い頃から人との距離が近すぎて、知らない子供でもすぐに遊びたがった。

多くの子はそうでないので、大抵引かれていた。

 

この距離感は環境に依るものだろうと思っていたが、先天的な素質も関係しているのだろうか。

 

 

窓から見える木に、綺麗な花が咲いた。

遠目に見るといくつも段のあるドレスのようで可愛い。長く細い枝が、風になびいてゆさゆさ揺れている。

なんという木なのか知らないが、日本のものではない気がする。

 

最近、服や鞄、財布など、身につけるものをよく買う。

物に向き合う時間は美しく、何にも代えがたい。

考え尽くされ、丁寧に作られた品には血が通っている。だからこそ、持っているだけで力をもらえるし、独りでいても誰かと歩いているような気持ちになれると気づいた。

思い出を重ねることで、もっと愛おしくなるのだろうか。

 

クスノキの香油が、部屋いっぱいに広がっている。

ろうそくの火があぶる、よいかおり。

私と同じ土地で育った木に由来するという。

どんな景色を見てきたのだろう。

 

物や植物に自分を映してしまう。

こんな風だから、人との距離も近くなってしまうのだとぼんやりする熱帯夜。