人との距離感は、どうしたらうまくとれるようになるのだろう。
私は幼い頃から人との距離が近すぎて、知らない子供でもすぐに遊びたがった。
多くの子はそうでないので、大抵引かれていた。
この距離感は環境に依るものだろうと思っていたが、先天的な素質も関係しているのだろうか。
窓から見える木に、綺麗な花が咲いた。
遠目に見るといくつも段のあるドレスのようで可愛い。長く細い枝が、風になびいてゆさゆさ揺れている。
なんという木なのか知らないが、日本のものではない気がする。
最近、服や鞄、財布など、身につけるものをよく買う。
物に向き合う時間は美しく、何にも代えがたい。
考え尽くされ、丁寧に作られた品には血が通っている。だからこそ、持っているだけで力をもらえるし、独りでいても誰かと歩いているような気持ちになれると気づいた。
思い出を重ねることで、もっと愛おしくなるのだろうか。
クスノキの香油が、部屋いっぱいに広がっている。
ろうそくの火があぶる、よいかおり。
私と同じ土地で育った木に由来するという。
どんな景色を見てきたのだろう。
物や植物に自分を映してしまう。
こんな風だから、人との距離も近くなってしまうのだとぼんやりする熱帯夜。